「産業新生会議」後の記者会見 ( 2000/07/17 )
於官邸記者会見室10:18〜10:41
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○平沼通産大臣
それでは、第1回産業新生会議の内容について、発表をさせていただきます。
まず、本日は9時から10時過ぎまで、官邸大食堂において、第1回の産業新生会議を開催いたしました。
本日は、第1回でございますので、「産業新生に向けた諸課題について」、こういう議題で幅広い議論を行っていただきました。
冒頭、森総理より、産業新生会議は日本新生プランの重要な柱として位置づけられたものであり、既成の概念にとらわれないで、思い切った議論を是非お願いいたしたい。
こういう趣旨の挨拶がございました。
次に、事務局から、我が国産業をめぐる状況について、説明をいたさせました。
それに基づき、三人の産業側委員から、まずプレゼンテーションがございました。
最初に、ご発言をいただきましたのは、ここにお見えの今井経団連会長でございまして、「産業新生に向けた諸課題について」と題しましてご説明がありました。
ポイントを整理させていただきますと、以下でございます。
まず、第一に、産業フロンティアの改革に資する環境整備に関して、IT革命については、すべての国民、企業がその恩恵を享受できるよう、政府が環境整備を進めることが重要である。このために、書面主義など、電子取引を阻害する規制を省庁横断的に見直すために、是非、一括法を早急に制定していただきたい。また、技術による産業フロンティア改革のためには、大学改革などの技術開発システムの徹底した見直し、また、来年度予算の特別枠での独創的な技術開発への重点配分が必要である。こういうご意見の開陳がございました。
二番目として、ダイナミックな企業活動を支える基盤的な制度整備として、効率的で大胆な経営を実現するため、企業関連法制の早急な見直し、資金調達の円滑化、企業年金制度の改革などが重要である。特に、先の通常国会で廃案となった確定拠出年金制度は早期に導入が必要である。こういうご指摘がございました。
また、三番目として、経済活動を支えるための新たなシステムづくりとして、循環型社会に向けた新しいルールづくり、新資源センターの創設、あるいは、効率的な物流体系の構築、ITSの推進等の重要な課題に、これらに是非取り組んでいただきたい。こういうご発言、問題提起がございました。
次に、樋口委員から、「今後の重点課題について」と題してご説明があり、一つは、バイオ産業の戦略的な推進のため、省庁横断的取り組み、そして、特許というものが非常に重要なので、特許問題のことも、これまた、早急に、前向きに解決すべき必要がある。こういうご指摘がございました。
また、都市構造の抜本的再編が日本経済の新生のために、不可欠であって、地域経済活性化のため、市町村合併が非常に重要であるというご指摘がありました。
さらに、都市構造の抜本的再編のためには、不動産の流動化と有効活用も必要な課題である。こういうご指摘があったところでございます。
また、三番目のご指摘として、労働移動の円滑化のため、労働派遣、職業紹介の一層の規制緩和、個人の能力開発に関するバウチャー制度、これは、個人がサービス提供者を選ぶ制度でありますけれども、このバウチャー制度の導入、あるいは、年金のポータブル化、こういった制度をどんどん推進していただきたい。こういうご指摘がありました。
続いて、秋草委員より「ITを軸とした産業新生の実現に向けて」としてご説明がありました。
ポイントの第一は、早く、安く、良質なITインフラの実現、IT利用のための制度基盤整備、IT効果を最大化するため、その環境の構築、三段階の広がりについて、包括的な取り組みが必要だと、こういうご指摘がございました。
二番目に、四つの原理原則、すなわち、一つは既存の枠組みにとらわれない制度の見直しが必要である。二つ目は、通信と放送の融合など、メディアの進化への柔軟な対応、三番目としましては、公正な競争の実現、四番目といたしましては、国際ルール策定のためのイニシアティブが日本にとって重要なことだと。こういうご指摘がありました。
三番目といたしまして、課題を抽出するということだけではなくて、具体的な実行のために、明確な目標を設定し、省庁の縦割りを超えた強力なリーダーシップ、スピーディな実行が不可欠なので、産業新生会議にそのことを大いに期待する。こういうご意見でありました。
次に、産業側委員から、ご意見を伺いました。
まず、予め資料の提出がございました出井委員から、昨日、米国から帰ってきたけれども、米国の企業の変化というのは、思ったよりも早い。そして、出席をしていた欧州の代表も大変元気がいいと。日本はうかうかしていられないと。こういうお話があり、一番目といたしまして、株主代表訴訟制度、株主総会定数等の早期の見直しをしていただきたいと。
また、二番目として、連結納税制度の早期に導入、会社分割税制の早期整備、こういったこともやっていかなければならない。
三番目といたしまして、トラッキング・ストック制度、これは部門収益連動株式、こういったものを早期導入し、さらに、ストック・オプション制度の拡充もしなければならないし、また、国境を越えるM&Aを可能とするような株式交換制度、そういったものの導入も是非やっていただきたい。こういうご指摘がありました。
さらに、産業側からの委員の皆様方から、それぞれご意見をお伺いをいたしましたが、鈴木委員からは、規制改革については、スピードを上げた処理が大切だ。そして、書面主義、対面主義、不動産取引でありますとか、そういったITに対応していない規制の早急な改革が必要である。こういうご指摘がありました。
また、片田委員から、会社法制が現在経済のグローバル化に追いついていない。昨今は外人株主が増加して、株主総会についても、インターネットによる投票を可能にするなど、アメリカでは一部始まっているけれども、日本もそういう対応をする必要があるというご指摘がありました。
また、一株総資産5万円以上の商法の規制を見直して、ベンチャー・ビジネスの株式分割を容易にすることも、これから日本にとって必要なことである。こういうご指摘がありました。
三番目として、ネットでの決済専門銀行が現在創設されつつある。銀行法について、そういった動きに対応して、新しい角度からの見直しも必要である。こういうご指摘もございました。
高原委員から、雇用システムの柔軟化が必要であって、重複いたしますけれども、確定拠出年金法案の早期成立が必要なので、来たるべき臨時国会で成立を図っていただきたいというようなご希望も出ました。
また、医療・福祉・保育分野について、市場原理と民間活力の導入が必要な状況になっている。医療では、例えば企業経営の導入、レセプトの電子化、こういったことも是非必要なのではないか。こういったご指摘がありました。
また、常盤委員から、ITも必要であるけれども、「ものづくり」の観点から、日本は、この分野でまだまだ世界の中で進んでいるので、さらなる技術開発が特に重要であって、ナノ・テクノロジー、これを米国に後れをとらないように対応が必要だと。
あと、ゲノムの問題についても、国家プロジェクトとして、政府のリーダーシップを期待したい。こうした技術開発のために、産学官の環境整備を是非していただきたいというご希望がありました。
また、物流についても、ソフト面から、商慣行等を見直して、効率的なシステムを構築をしていただきたい。こういうご要望が四点ございました。
また、西室委員から、リサイクルについては、一般廃棄物と産業廃棄物の一括処理、広域処理が必要だ。そういう意味でも、新産業資源センター、今井委員からも、冒頭ご指摘がございましたけれども、そういう設立のバックアップを是非していただきたい。
また、ITインフラについては、IT宇宙インフラの整備について、ロケットの打ち上げ等でいろいろ問題がある昨今であるけれども、政府の努力を期待をしたい。こういうご意見の開陳がございました。
また、西川委員より、ネット上でのサービス提供の柔軟化等、銀行業務の枠を広げる規制緩和がこれからは必要である。また、会社組織の柔軟化のため、会社の分割税制、それから、連結納税の早期整備が特に必要である。こういうご指摘があり、株主総会の権限見直しなど、新しいコーポレーテッド・ガバナンスのための商法改正を是非していただきたい。こういうご指摘もございました。
また、大西委員より、大企業と中小企業、ここでのデジタル・デバイド、これが非常に大きな問題になっている。99%を占める中小企業は、IT革命に取り残されるような状況になっているので、商工会議所としても、中小企業に50万台の、いわゆるパーソナル・コンピュータを提供するようなことも並行してやっているけれども、是非、IT活用のための経営支援策をお願いをしたい。こうした観点から、産業新生会議とIT戦略会議の連携が必要である。こういうご指摘がございました。
牛尾委員から、いろいろご意見が出たけれども、この問題で一番大切なのは、スピーディな対応であって、例えば、来年の参議院選挙までに対応できるものは、きちんと対応できるような体制をとっていきたい。何をやるのかということを明確にして、それを取り上げて、そして、完全な形でそれを実行することが必要である。こういうご指摘がございました。
特に、商法の抜本的な見直しも必要であって、裁量の余地がない、徹底的な対応をすべきである。こういうきついご意見もございました。
非常に、本日は時間も限られておりまして、政府側からも、各大臣、いろいろ発言の挙手がございましたけれども、大島文部大臣から、創造的技術開発の推進に、科学技術庁、文部省で努力をしてまいりたい。また、教員のIT知識向上のためにも、既に努力をしているけれども、さらに弾みをつけてやってまいりたいというご意見があり、
扇建設大臣から、ITSについて、全国に多数設置するなど、推進をしていきたい。 また、産業新生、産業に弾みをつけるために、住宅ローン減税については、二年程度の延長をし、そして、経済にインセンティブを与えていきたい。また、二世帯同居についても、親から子にへの贈与税の減税、こういうものを実行しながら、経済新生に取り組んでいきたい。こういう意見の開陳がありました。
保岡法務大臣から、会社法制については、次の次の通常国会までに、できるものから前倒しで対応していきたい。早期改正には、全力で努力をしていきたいというご意見がありました。
堺屋経企庁長官から、日本新生プランの取りまとめについて、本日いろいろ出たご意見を踏まえ、全力で取り組んでまいりたい。こういう締めくくりの発言がございました。
私から、今日出していただきましたそれぞれのご意見というものをよく整理をいたしまして、そして、そういう事項については、次回の会合において、この会議で取り上げる課題として、委員の皆様方にお諮りをしていきたい。こういうことを申し上げました。
最後に、お手元にお配りしてあると思いますけれども、森総理より締めくくりの発言がございました。
これは、お読みいただければいいと思いますけれども、とにかく、全力で取り組み、そして、皆様方のご意見をしっかりと踏まえた上で、日本新生のために努力をすると、こういうことでございました。
また、森総理から、樋口委員からご指摘のあった都市再生の問題についても、関係大臣のもとで、特に検討を進めていきたい。こういう総理からの意見もあったわけでございます。
以上、今日の第1回の産業新生会議の内容でございます。 |
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| ( 質疑応答 / 平沼大臣 ) |
Q:
会議の進め方ですが、例えば、来年の参院選までを見通してという話もあったようですけれども、その時期を目指して何か報告書をまとめられるのか、あるいは、回数自体について、月1回程度など、もし決まっていれば、お聞かせくだいさい。 |
A:
これは、そういうご意見が出ましたけれども、その都度、出た意見というものは、これは、特に報告書に取りまとめるということはしないで、そして、その出た意見ということを、この政策に反映するために、その都度、スピーディに対処をしていく、こういう形でございまして、特に、これは報告書を取りまとめると、こういうことではございません。
また、頻度でございますけれども、今のところ、定期的にどういうふうにやるかということは考えておりませんけれども、産業新生のために、検討すべき課題がある限りは会議はずっと続けていきたいと思っておりまして、おおむねでありますけれども、1カ月に1回程度開催したいと考えておりますけれども、総理及び関係者の皆様方のご日程をよく勘案して、相談をして、そのような方向で進めていきたいと、こういうふうに考えております。 |
Q:
先ほど、最後のところで話の出た都市再生の問題ですけれども、都市再生委員会なり、何なりの設置とか、そういうものは特に今日の段階では決まっていないのですか。 |
A:
今日は、特にそういう話は出ておりません。 |
Q:
ただ、配られたレジュメの中に、そのようなものが入っていましたけれども、都市再生の設置を要望したいというようなことが書いてありましたが、それについては、結論は今日の段階では出ていないのですか。 |
A:
今日の段階では出ておりません。
これからの検討事項にはなると思います。
(以 上) |